「親が老齢で・・・」あるいは「子世帯の住宅ローン軽減のために」――― 近年、二世帯住宅のご相談が多くなったと感じています。

しかし、勢いや無計画で二世帯住宅にしてしまうと、悲惨な結末になるケースもあります。
「どこで、どのように、誰と住むのか?」ということは快適に暮らしていく中では重要なファクターです。

「住環境が合わない」ということは生きていく上では致命的なこと。体調不良に陥るほどのダメージを受ける可能性さえあるのです。
このようなデリケートな問題だからこそ、二世帯住宅を建てる際には、結論を急がずにじっくり計画的に進めてほしいと思っています。

今回は二世帯住宅を考えている方が注意すべきポイントを3つご紹介します。

①住まいの間取りと世帯間のルールはセットで考える

二世帯住宅といっても、親世帯と子世帯の関係性によって、さまざまな間取りが考えられます。
建築ではゾーニングと言いますが、親世帯と子世帯のテリトリーをどのように分けていくか、共有させる部分の確認などをしてから、間取りの検討に入るのが一般的です。

ここで共有部分をどうするのかの確認を各世帯でじっくり話し合っておかないと、せっかくの良好な関係に住んでから水を差してしまうこともありますよ。

例えば、キッチン、浴室、洗面所、トイレなど水廻りは全て共有している二世帯住宅のお宅では、「子(親)世帯が汚すばかりで掃除もしない!」などの、お互いの価値観の違いで各世帯の関係がギスギスしてしまった、といった相談を受けたことがありました。

どちらか片方が共働き世帯、またはジェネレーションギャップや生活スタイルの違いによって、各世帯間で必然的に価値観の相違が生まれてしまうのは避けられないですよね。

今回のケースでは、すぐに家を建て替えることも出来ないので、お互いの生活の中にしっかりとしたルール作りが必要だとアドバイスさせていただきました。困ったことがあれば中立的な第三者を間に入れるのも、お互いに客観視できて良いのかもしれませんよ。

②「親世帯は1階」は当たり前じゃない?「音」への配慮は重要!

子育て真っ最中の子世帯と親世帯の二世帯住宅のスタンダードな間取りは、玄関が共有(一箇所)で1階が親世帯、2階が子世帯、水廻りは各世帯専用のものを設置するスタイルが圧倒的に多いです。

1階が親世帯になるのはバリアフリーの観点から推奨されていますが、「音」の問題となると1階にアクティブな子世帯を配置する方が良い場合もあります。1階が子世帯になった場合は、2階(親世帯)へのアクセスはホームエレベーターを設置するなどの工夫でバリアフリーの段差の問題も解消できますよ。
今までの「なんとなく」や暗黙の了解などで「親世帯は1階」と決めつけてしまわないで、どのような形態であればお互いにストレスフリーで過ごせるのかを考えてみてくださいね。

この他にも、私たち建築家が二世帯住宅の設計では、寝室の上(下)に賑やかになりそうなLDKをもってこない等の配慮も欠かせません。夜中にトイレやお風呂に入ることがあるのなら、トイレやお風呂の上下にも寝室は配置しない方が賢明です。お互いの時間的なサイクルにも気遣いが必要ですね。

音が聞こえるというだけで、相手の気配を感じてしまい「落ち着かない」という方も多いと思います。特に木造住宅は音が伝わりやすいので注意が必要ですよ。

③収納の確保はテリトリーの確保!

比較的大きい建物であろうとも、ひとつの建物に二世帯が入るとなれば空間に余裕などはなく、限られた面積の中に必要な部屋を配置していくのに精いっぱいですが、ここで見落としてはいけないのが「収納」です。

収納が少なければ「物が片付かない」という支障ももちろん出てくるのですが、実は「収納」こそ、自身のテリトリーを示すツールなのです。各世帯間の収納のエリアを分けるだけでなく、家族ひとりひとりの「自分の場所」を確保する意味でも、収納計画はしっかりと抑えておきましょう!

例え、浴室や洗面所などの水廻りを共有したとしても、「親世帯のキャビネット(収納)」と「子世帯のキャビネット(収納)」を分けて設置するだけで、各世帯間に見えない境界線が生まれます。
スポーツジムの更衣室のロッカーと感覚は同じです。「自身の荷物の置き場所=テリトリー」が守られていれば、他人と洗面所を共有してもネガティブな感情は沸いてこないですよね?
これが、鍵付きのロッカーではなく、オープンな棚で誰でもゴチャゴチャ置けるスペースだけだったら・・・なんか不安感が生まれたりする訳です。(個人差がありますが・・・)

まとめ

二世帯住宅は、小さな我慢や不満を積み重ねてしまうと、本当に関係修復にかなりのエネルギーを必要とします。
お互いの小さな気遣いで、二世帯で快適に暮らせたら・・・こんなに素晴らしいことはありませんよね!

私も将来的には二世帯で住むことになるかもしれません。
誰にでも当てはまることですから、上記のポイントを覚えておいてくださいね!

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