「私は毒親じゃないはず」
「毒親になんてなるはずがない」
「可愛いわが子に嫌な思いをさせるなんて考えられない」
きっと、そう思うママたちがほとんどだと思います。
しかしその思いとは裏腹に、自覚なく毒親になってしまっているケースがあることも事実です。
今回は「そもそも毒親ってどんな意味?」「どんな特徴があるの?」という疑問から、実は「毒」を与えている普段何気なく言っていそうな言葉について、例をあげてご説明します。
そもそも毒親って?
ちょっとゾワッとしてしまいそうな「毒親」という言葉。
これは、アメリカの精神医学者スーザン・フォワードの著書『毒になる親』から生まれた俗語で、子どもの人生に悪い影響(いわゆる「毒」)を与えてしまう親のことを指します。「毒親」の他にも「毒母」「毒ママ」などと呼ばれることもあります。
具体的な言動としては、暴力を振るうなどの虐待行為、育児放棄、過干渉により子どもを支配しようとするなどがあげられます。
近年、テレビ番組で特集が組まれたり、大人になって初めて自分の親が毒親だったと気づいた経験談や、母娘の確執について書かれた著書が出版されるなど、目にする機会が増えています。
女優の波留さんが娘役を、斉藤由貴さんが母親役を演じ、その怪演ぶりが話題となったNHKドラマ「お母さん、娘をやめていいですか?」は記憶に新しいのではないでしょうか。
このドラマでは、まさに“干渉タイプ”の毒親でした。
子どもの頃は親ならば誰しも干渉するものですが、成人した娘の仕事や恋人にまで介入し、娘をあたかも自分の所有物のように扱い、自分の手元に一生置いておくと言わんばかりの狂気的な姿が描かれていました。
元々は絵に描いたような仲良し親子の母と娘でしたが、徐々に歯車が狂い始めていたのかもしれません。
毒親にはどんな特徴があるの?
ひと口に「毒親」と言っても、人間は一人ひとり性格も特性も違うので毒親のタイプもさまざまです。どんなタイプがあるのかさっそく見てみましょう。
【暴力型】
しつけや教育と言って、いわゆる体罰を与える
【育児放棄(ネグレクト)型】
適切な衣食住の世話をせずに放置する
【精神的虐待型】
暴言を吐く、子どもの人格を否定する、兄弟と比較する など
【過干渉型】
子どもより常に先回りし、危険を回避する
行動を制限・否定し、常に行動をチェックする
【支配型】
いつまでも自分の支配下に置いておこうとする
これらのタイプは、どれか1つだけに該当するとは限らず、【精神的虐待型】×【支配型】など、いくつかのタイプが組み合わさっている毒親も多く存在します。
【暴力型】や【育児放棄型】の場合、外傷がある・表情が暗い・いつも元気がないなど、子どもの様子を見れば外の人でも気づくことができるかもしれません。
やっかいなのは、【暴力型】と【育児放棄型】以外は親本人も自覚がない場合が多いという点です。さらに子ども自身も、暴力を振るわれたわけでもなく、衣食住に困るわけでもないため、傷付いていることに気づけない(自覚がない)可能性があるのです。
つい言っちゃってた?!毒親になりかねない言葉とは?
あからさまな暴言は判断しやすいと思うので、ここではつい言ってしまいがちなNGワードをご紹介します。
●兄弟や他の子と比較するような言葉
「お姉ちゃんはできたのに、どうしてできないの?」
「お友達はみんなできているんだから頑張らないと」
兄弟と比較されることは傷ついてしまうだけでなく、兄弟に対して嫉妬心が生まれます。誰かと比較するのではなく、その子の良いところを認めて褒めてあげましょう。
●否定するような言葉
「だめな子ね」
「どうしてちゃんとできないの?」
子どもは親のことが無条件に大好きです。そんな親から人格を否定されるような言葉を言われると、自分に自信が持てず、何事にも消極的になり、周りと上手くコミュニケーションがとれなくなる可能性もあります。否定するような言葉は避けましょう。
●禁止・コントロールしようとする言葉
「ママの言うことを聞いていればいいの」
「あなたのためを思って言っているのよ。だからママの言う通りにしなさい」
何でも親の言う通りでは、指示がないと自ら行動できない子になってしまいます。また、「親に従わなければ」と恐怖を抱いていると、人の顔色ばかりを気にするようになってしまいます。
親の都合でコントロールするのではなく、本人の気持ちに耳を傾けてみましょう。
●脅すような言葉
「お耳ついているの?」
「ごはん食べないなら、明日から作ってあげないからね」
その場では言うことをきいたとしても、それは恐怖心から従っているだけで、なぜそうしなければいけないのか実際には理解できていないでしょう。脅すのではなく、ちゃんと理由を説明するなどして伝えましょう。
いかがでしょう?どれもつい言ってしまいそうな言葉ではなかったですか?
大人の場合は、反論することも言われたことが正しいか判断することもできます。しかし子どもはそうはいきません。
子どもにとって親という存在はとても大きく、一番身近な大人であり、誰よりも大好きな存在なのです。そんな親から発せられる言葉は、良い意味でも悪い意味でも子どもに大きな影響を与えます。
あなたも幼い頃、親に言われてものすごく嬉しかったり、傷ついたりした経験はありませんでしたか?子どもの立場になって考えてみると、これからは使わないでおこうと思う言葉もあるかもしれませんね。
さいごに
色々とお伝えしましたが、あれもこれも言ってはいけない!と考え過ぎて、何も話せなくなってしまっては意味がありませんよね。
私の知り合いに「怒りの感情を1日寝かせる」と話す人がいました。その人曰く、1日寝かせることで乱暴な言葉や余計なことまで付け加えなくなる、発する言葉や伝え方が変わる、そう言っていました。
幼い子どもと接するうえで“1日寝かす”ことはできないと思いますが、叱る時は感情任せにならないように一呼吸おく、乱暴な言葉は使わないようにする、など自分ルールを決めるだけでもいいかもしれません。
きっと今この記事を読んでくださっているということは、お子さまのことが大好きなママたちだと思います。その愛情を持ったまま、ゆがむことなく素直に接してあげてくださいね。