何か突発的な収入があってもっと膨らむ時もありますし、逆に調子が悪く少ない時もありますが平均にするとだいたいはそんな感じです。
どうでしょう、この額を聞いて少ないと感じたでしょうか?それとも、内職にしては多いと感じたでしょうか。
自分のことですがはっきり言うと、41歳の男の収入としては当たり前に少ないと思います。
一人だと贅沢さえしなければなんとか生活できるレベルかもしれませんが、家族を養うとなると厳しい月収です。
うちは奥さんがフルタイムで働く会社員なのでなんとかなっています。
日本イラストレーター協会が実施したアンケートのデータによると、イラストレーターの平均月収はだいたい20万円ぐらいらしいです。
ということは、今の僕の収入でちょうど平均的なイラストレーターの収入ですね。
ものすごい額を稼いでいるイラストレーターさんもいらっしゃるので一概には言えませんが、平均という視点から比較して見ると一般的な会社員よりもイラストレーターは儲からない職業と言えるかもしれません。
お金儲けだけが目的ではないものの、生活ができなければ活動を続けることができません。
先ほどの日本イラストレーター協会のアンケート回答者の年齢の多くは20代で、40代以上はとても少ないです。夢破れてやめてしまう人がほとんどだということだと思います。
もっとお金の話をするべき
イラストにしても漫画にしてもそうですが、仕事の依頼を受ける際にあまりお金の話をしないクリエーターさんが実はけっこういるんです。驚くことに自分がいくらもらえるのかわからないまま作業をする人もいますし、依頼者の言い値でタダ同然で作業する人もいます。
おそらく仕事前にあまりお金の話をしないのは、「面倒くさいやつ。金にうるさいやつ」と思われてその後の関係が悪くなるのを避けるためだったり、仕事の話が流れることへの懸念があるからのように思います。
実は僕も30代前半ぐらいまでは作品のクオリティを上げることだけを考えていて、編集の人とお金の話をしたことは1回もありませんでした。
仕事が終わった後に銀行に振り込まれた額を見て、「ああ、原稿料1ページ7000円だったんだ」と知るような感じだったんです。
娘ができてからこれではいかんと思って、最低限度の報酬の確認や交渉を事前にするようになりました。
でも残念ですが先ほど述べた懸念の通り、報酬の話を切り出して仕事の話が流れてしまうケースが実際にあるんです。
ここ最近の僕の話で言うと、内容からして原稿料が少ないと感じた依頼に対し、お声掛けありがとうございますと前置きした上で、「もう少し原稿料どうにかなりませんでしょうか?」とお伝えしたところ返信がないということがありました。
別に非常識な高額をふっかけているわけではないのですが、このパターンは過去にも何回かありました。
他では、とある冊子のイラストの依頼で、最大で3ヶ月も拘束される可能性のある内容だったのにもかかわらずメールに原稿料が記載されていなかったので、問い合わせてみると返信がないということもありました。
僕は子どもの頃プロ野球選手が契約更改で、何千万円では少ないと交渉を重ねる姿を見て、野球が好きでプロになったのに、それだけのお金があれば十分生活できるのに(税金をたくさん納めたとしても)、なぜごねているんだろうと思っていました。
今はもちろんそうは思いません。怪我をしたり急に調子が悪くなっていつプレーができなくなるかわからない職業ですし、報酬がイコール評価の世界なんですよね。
イラストレーターも同じで、いくら言葉で「丸本さんの作品は素晴らしいですね!大好きなんです!よろしくお願いします!」と言われても、5万円という報酬で制作に10日かかる内容の依頼であれば、土日休まずに働いて月収15万円のイラストレーターと見られているということです。
お金を払う段階になってはじめて人は本当の評価を下すんですね。この金額で描いてもらうだけの価値があるかという見定めです。だからこそ、「いや違う、自分にはもっと価値がある!」と感じたなら、ちゃんと希望を言って交渉するべきだと思うんです。
そして交渉をスムーズに進めるのに大事なことが“知る”ということです。
だいたいでも適正だと思われる報酬の相場を知り、自分の価値を正しく見定める必要があります。
お金の話をするのはゲスい、汚いという考えがあるのか、日本ではお金の話を嫌う人が多いような印象がありますが、僕はクリエーターの人たちは仲間同士でも積極的にお金の話をして、常に新しい情報をキャッチするアンテナを張っておく必要があると思います。
同じようなレベルの活動している人でも少しの立ち居振る舞いの違いや運で、年収に数百万円ぐらいの差は出ます。
絵を描く以外にフリーのイラストレーターに必要な力
イラストや漫画を描く仕事って、絵を描く以外にコミュニケーション能力がとても大事だったりします(ちなみに僕は自分自身にそんなにその力があるようには思いませんが)。
もちろん作品そのもののレベル向上のための努力が必要なのは言うまでもなくです。報酬の確認や交渉をした時に無視されないぐらいにはなりたいですね。
今回の記事がこれから絵を描くことを仕事にしようと考えている人の参考になれば幸いです。
また、イラストレーターなどの制作系のお仕事以外でも同じようなことが言えると思います。
自分の価値を理解して、それに見合った報酬を確保することはどんなお仕事をするにしても、大切なことではないでしょうか。