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知っておきたい!建売住宅の気になること

建売住宅
目次

建売住宅について

私が建築家として「建売住宅」について公で語るのは、今回がはじめてかもしれません。
それは、「建売住宅」が同じ建築業界の中で商売敵という立場でもあるし、そもそも住宅に対してのスタンスが決定的に違うので、個人的に少しネガティブな感情も混ざっているからです。
ですが、建築に詳しくない友人から「建売住宅ってどうなの?」、「欠陥住宅もあるものなの?」とよく質問されるので、みなさんが気になる「建売住宅」についてお話ししてみようと思います。

注文住宅と建売住宅

私のような建築設計事務所の建築家と名乗る者は、家は「つくる」という概念です。
そこへ住まう人の個性や豊かな生活が送れるために打合せを重ねながら住まいの理想を形にしていくことを業としています。
一方の建売住宅の業者は、不動産業者がメインとなって企画設計をされているので、住宅を商品として「売る(買ってもらう)」ということに重心を置いています。
より多くの購買層にアピールするため、ここでは個性は出さずに誰もが受け入れ易い間取り(3LDKなど)、の住宅を設計する傾向があります。
では、みなさんが気になる「建売住宅」に対するイメージについてご説明しましょう。

国が定めた建築基準法によって「人命と財産を守る」基準は守られているので、地震がきたら壊れてしまう構造状態ではないということは言い切れます。
それでは「建築家の家づくり」と「建売住宅」の違いについて、お料理に例えてお話しさせて頂くとわかりやすいので、ここでは「肉じゃが」作りを例にご説明します。

【自分の家族、子どもや夫に食べさせるために「肉じゃが」を作る場合】
●家族の好みやアレルギーなど、生活リズムや体調の変化に配慮して作ることができる。我が家なら、減量中の夫のためにシラタキを追加して、幼稚園の息子のためにしっかりダシをとります。
●予算の中でも良い素材を選んで調理する。普段の料理は豚肉がメインですが、良い味にしたいので「肉じゃが」には牛肉を選ぶのが我が家流。他のメニューで予算を抑える。
●ホカホカ熱々のできたてを食べられるようにタイミングを考えて作りはじめる。
●食べる人の顔が見えるので、美味しいと褒めて欲しいという思いが芽生える。愛情を込めて丁寧な仕事をする。

【お店、加工品など、より多くの人に向けて「肉じゃが」を作る場合】
●食べる人の顔が見えないので、多くのお客さんに受け入れられるように一般的なレシピで作る。
●コストが厳しい場合は利益を優先にするため、材料の銘柄や産地よりも仕入れ値重視の材料をそろえる。
●スピードを要求されることが多く、手早く要求された料理の量を準備するため効率重視の調理法を用いる。
●味付けもオリジナル性はなるべく加えず、大衆向けにあっさりと仕上げる。

どうでしょう?肉じゃがの作りから「建築家の家づくり」「建売住宅」の違いが見えてきましたでしょうか?
ここに少しだけ付け加えると、より多くの人向け系の肉じゃがの味が自分好みではなかった場合、調味料を足すなどアレンジを加えることもあります。それは、家に置き換えればリフォームに似ています。
私の知るところでは、「建売住宅」が築10年も経たないうちにリフォームしたいと相談に来る方もいらっしゃいました。
リフォームであれば既存の建物の制約がありますから、その制約の中で「理想の形」になるべく近づける方法を取る必要があり、結果、費用が多くかかってしまう可能性もあります。

工事前、工事中の場合は造り手との意思の疎通が大切!

実は、私のママ友から「知り合いが建売住宅を買ったんだけど、業者とのやり取りを聞いていて、少し不安みたい。まだ工事中だから、今からできる対策はないかな?」という相談を受けました。
私からのアドバイスとしては、「まだ工事中なら、足しげく現場に通った方が良い。」と言いました。
理由は、現場の職人さんに丁寧な仕事をしてもらうためです。

家という大きな買い物の場合、買う側も家の購入に慣れてないこともあり、不安や不信感が募り、外部から建築士を連れてきて工事現場を確認させるというケースも見受けられます。
そういう場合は、工事が始まる前に工事を行う業者に「現場に第三者の検査を入れたい。大丈夫ですか?」という確認が必要となります。

住宅は人の手でつくり上げていくもの。造る人も人間ですから、気持ちの良く仕事をしてもらい、発注側も安心して確認させてもらうためにも、事前に声をかけるというステップを踏んだほうが賢明だと思います。
以前、私も建売住宅の第三者検査の依頼を受けた経験がありますが、こういった住宅検査サービスは年々増えています。住宅は建ってしまったら直すことの方が大変になってしまうので、早め早めに手を打てるとベストです。

「ウチは注文住宅にするから大丈夫!」と思っている方も油断は禁物です。
注文住宅をお考えであれば、ご自分で家の事、自分たちの暮らし方について勉強しておくことをお勧めします。

全てを業者に任せっぱなしでは、どんな生活がしたいのか、どういう家を理想としているのかが伝わらず、結果として理想通りの家にならない可能性もあるかもしれません。注文住宅でも建売住宅でも設計するのは、建てるのは“人”。
要になる人とどんな家にしていきたいか、どんな暮らし方をしていきたいのか、長い目で見たときに、どうなっていたいのか等しっかりと意思疎通していくことが大切と言えそうです。

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