こんにちは、丸本チンタです。
前回に引き続きまして、これまで僕が絵を描く仕事を続けてきた中であった怖い話、ゾッとする話をお送りします。
ブログを通して数年、自分の家族のエッセイ漫画を発表してきました。いろんな人の目にふれる活動をしていると、あたたかいコメントや応援のメッセージの他に、時には心ないメッセージが届くこともあるという話は、この「在宅!ワーキング・ダッド!」の第2話でも書きましたね。
もちろんそういった心ないメッセージが来ることも織り込み済みで活動をスタートするわけですから、「おもしろくない」などの個人的な感想や、ありきたりの誹謗中傷などではそう簡単には怯みません。
でも、人の予想を超えてくるのが現実なんですよね。
今回はこれまでにいただいた中で、僕にとって一番怖かった最恐のメッセージの話をしたいと思います。
あれはブログで漫画を発表し始めてしばらくした頃でした。
出版社の編集さんからのお声がけがあってのブログ開始とはいえ、ブログの人気が出なければどうにもなりません。ちょうど漫画やイラストの仕事が少ない時期だったので、ブログの漫画をきっかけになんとか次に繋がるような仕事がもらえないかと考えていて、初期の頃はブログの更新に家族一丸となって取り組んでいました。
ありがたいことに少しずつアクセス数も増え、ブログのランキングも上がって、さあ、まだまだこれから!というとき、僕が書いたあるブログの記事で少しコメント欄が荒れたことがあったんです。
シールで喜べる娘が愛おしいという内容の漫画でした。
この記事で僕は女性の読者の方に「みなさんにもこんな頃があったんですか?娘も大きくなったら高額なバッグとかがほしくなるんでしょうか・・・汗」というようなことを書いたんです。
それは荒れる・・・と思った方もいるでしょう。僕も今だったら書きません。
女性の方数人から「女をバカにしているのか」「女性がみんな高額なバックをほしがると思っているバカ男」などのコメントがありました。
後からだと全部言いわけになってしまうんですが、僕は女性がみんな高価なものをほしがるとは思っていませんし、うちの子が男の子であれば男性に向けて、「今はミニカーで大喜びしてるけど、大きくなったら高級車がほしくなるんですかね?」などの内容になったと思います。もちろん男性がみんな高級車に興味があるとも思っていません。
さらに言うと、大きくなって自分の手の届く範囲や、買ってもらえる範囲の中で高額なものを欲しがることを僕は悪いこととは考えていないので、こういった内容で怒る人がいるとはその時は考えることができなかったんです。
僕が一番震え上がったメッセージは、そのブログの記事へのコメントの中にありました。
出版社でそれなりのポジションにある女性からのコメントで、
という内容のものでした・・・。
出版関係の方からこういったコメントがくるのは想定外だったので驚きました。
もちろん出版関係の方や編集の人も一読者ではあることはわかっているんですが、僕みたいに有名でもない描き手のブログに、不快だったとはいえ簡単に言うと「干すぞ」という内容のコメントを残す人がいるとは・・・・。
今でこそ肩書きを聞かれればフリーのイラストレーターですと答えている僕ですが、当時は漫画を描くのを自分の活動の中心としていましたので、これから漫画家として這い上がっていこうと頑張っていた僕にとってはとても恐ろしい言葉でした。
僕を応援してくれているファンの方々からは「きっと出版社の人っていうのは嘘ですよ!気にしないで!」というコメントをいただきました。でも僕はこのコメントを見た瞬間に本物だと感じたんです。
なぜなら、僕は過去にもほぼ同じ内容のことを編集者の方から言われたことがあったからです。
その出版関係者を名乗る女性からのメッセージは「売れなきゃいいのに」という一言で締めくくられていました。
どう言えば描き手にダメージがあるかよくわかっている人からのメッセージに思えました。
もちろん編集の人がみんなこのような人ばかりというわけではありません。描き手にいろんな人がいるように、読者にもいろんな人がいて、編集者にもいろんな人がいるということです。
結果的に言うと僕は干されず、その後書籍を出版することができました。その際の編集の方々には本当によくしていただきました。
夏の怪談特集として2回にわたり怖い話を書かせていただきましたが、今回は怖いだけでなく、最後は前向きに終わろうと思います。
出版関係の方からブログにこういったメッセージが来たということは、逆に言えば、良いものを出せば報われるかもしれないとも言えます。
うまくいかない時には、誰も自分のことを見てくれていない、評価されないという気持ちになったりするかもしれません。
でも、何か夢を持って頑張っている人は忘れないでください。必ず誰かがあなたのことを見ています。良くも悪くもです。
僕にとっての最恐のメッセージは、誰かが見ている、見てくれている、これからも頑張っていこう、そう思わせてくれるメッセージでもあったんです。